『神狩り』読了

2006年7月21日 読書
山田正紀の『神狩り』読みました。
とても面白い小説でした。
詳しい感想はSayland君に直接言うとして、(ども、ありがとね)
簡単な感想を。

『神狩り』はタイトルの通り、「神」に反抗する青年を描いた小説で、
「神」は、人間には理解できない論理を扱う存在となっています。
いやあ、権力への反抗って主題、良いですよね、好き好き。
その上、描かれる権力のでかいこと。
だって「神」ですよ、まず、対抗できませんよ。
(権力って言うべきではないかも、超越者?)
しかも、関係代名詞が十三重以上に入り組み、論理記号が二つしか存在しない『古代文字』という魅力的なガジェット使って、
人間を超越した論理の持ち主であることを示すんですよ。
ワクワクするなって方が無理でしょう。
破滅を覚悟しつつも、暗い情動に突き動かされる主人公。
70年代っぽくて素敵です、大好きです。
終わりなき戦い。良いですね。
素晴らしき青春小説。
おもわず、山田正紀は天才と言ってしまいたくなりますが、
あえて、天才と呼ばないでおきたいと思います。
人間が「神」へ反抗する様を、怒りと共に書き上げた山田正紀を、
天才=「神」に与えられし才能の持ち主、と
位置付けることには違和感を感じるからです。
むしろ、偉大なる凡人=反抗者、と賞賛したいと思います。

簡便に書こうと思ったんですが、なぜか頭の浮かれた感想に。
読み終えた直後はこんなもんです。
まあ、いいですよね?
あと、感想じゃなく、思いついたこと。

もしかして、『度胸星』は山田芳裕からの『神狩り』へのオマージュなんじゃなかろうかと思うのです。
超越した論理を扱う存在を、4次元の住人として描いたこと。
しかも、それが火星においてであること。
想像できないものを想像で描こうとする、
その精神を、山田芳裕は引き継ごうとしたのではないのかと。
山田正紀があえて書かなかった戦いのその先を、
山田芳裕は無謀にも描こうとしたのではないのかと。
『度胸星』の打ち切りによって、その戦いが最後まで描かれなかったことが大変に悔やまれます。
こう書くと、打ち切りさえ「神」の妨害に思えてきませんか?

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