3月13日の日記

2008年3月13日 読書
ここ数ヶ月、北方謙三版の『水滸伝』を少しづつ読み進めてます。
志を掲げた男たちが革命に向けひた走る姿を、群像劇として切れ味のある文体で描いていて大変面白いです。

人物も現代風に作り直されている為、読みやすいのも好感触。というか、話自体もほぼオリジナルと言って良いほど変えられれてるみたいです。
まあ、横山光輝版を昔に一度読んだだけなんで違いは分かんないんですけど、アニメ版Gロボと違うのだけは流石に分かります。あんな超人連中は出てきません。

革命譚繋がりで、イブニングにて連載中の『レッド』と比べるとなかなか楽しいです。
『レッド』は浅間山荘事件をモデルとして革命の志を持った若者たちが自壊へと向かっていく様が描かれているんで、『水滸伝』の志が力を伴って革命のうねりへと変ずる様との対比が鮮やかなんですよ。
日本赤軍にも宋江や楊志のような魅力あるリーダーが、あるいは公孫勝や盧俊義のような冷徹な実務家が居れば少しは違ったのだろうか、と想像してみたり。

詳しい感想は読み終えたら残しておきたいなと思ってるんで、また次の機会にするとして、本の読み方の話を少し。

最初の一文に書いたとおり、『水滸伝』は意識的に少しづつ読んでます。
本を読むときは大体の場合、一気に読んでしまうんですが、なんかもったいない気がしてたんですよ。
折角のご馳走を一気に腹に詰め込んじゃうのもどうかなと。
てなわけで、本を常に持ち歩いて手が空いた時だけ読んでたんですが、なかなか良い感じです。

この読み方って週刊連載漫画やTVアニメの楽しみ方に近いんですよね。
生活のリズムに組み込まれ、暇な時にふと物語に思考を巡らせてみる瞬間が楽しかったり。
お気に入りのキャラと共にある楽しさなんかがあるというか。
この手の長編では人の名前がさっぱり覚えられない方ですが、今回はしっかり覚えられてるのも読み方のおかげかなと思ってます。読み始めるたびに反芻するので脳に刻み込まれやすいんじゃないかと。

勿論、展開が細切れになるというデメリットがあるので何にでも適用は出来ませんが、キャラ中心に描かれる長編なら一度試してみるのも良いんじゃないでしょうか。
ハードSFの様な設定・物語偏重じゃなければ多分大丈夫です。
小説が苦手な人も一日10分ぐらいなら読めるでしょうし、アニメや漫画と同じように楽しめるかもしれません。

前置き長かったり、冗長だったりする文ですいません。
みんな最後まで読んでるんでしょうか?
色々反省しつつ、また明日。

12月11日の日記

2007年12月11日 読書
『とらドラ!』が自分のハートを鷲掴み過ぎて危険です。
6巻読みました。相変わらず面白いですね。
なんか新刊出るたびに言ってる気がします。

コメディパートは高値安定として、後半の青春パートも良い感じ。
今回の完璧なやつなんていないってのも定番のメッセージなんですが、だからこそきっちり書かれると王道で面白いんですよね。
というか、すみれの話は勘弁ですよ、あの手の話に弱すぎるんで。

今回は些細な不満ですが、気になる点があったので少し。

45ページの挿絵なんですがね、挿絵ない方が良かったなと。
実乃梨がちょっと頬を染めつつ俯いてるのは、そりゃまあ、ご馳走様って感じですが、文中では竜児は実乃梨の横顔を照れてて見えなかったわけなんだし、読者としては主人公と一緒に実乃梨の表情を想像してみたいわけですよ。その楽しみを奪うのはあんまりじゃないかと。まあ、意図としては読者の誤読を誘おうってとこなんでしょうけど、今後の展開的に。

それはそうとして、158ページみたいな使い方は良いですよね。
挿絵の理想的な使い方じゃないかと。
漫画が最も得意としていて、小説が苦手としているとこですし。
泰子、おいしいなあ。

読みたいって人がいれば部室には持ってきますんで、一声どうぞ。
『とらドラ4!』の感想。
貸してくれたことへの礼ということで。
当然ネタばれ満載なんで、未読者は注意を。

あー、今回もめっさ面白かった。
竹宮ゆゆこのコメディセンスは素晴らしいわ。
バトミントンからの犬との取っ組み合いは笑った。
冒頭の犬家族な夢落ちの後に、これ持ってくるのは良いなあ。

みのりんも相変わらず素敵なバカっぷりで、見せ場多いね。
ハイテンションな待ち合わせに吹いた。
今回はシリアスな方でもなかなか。
ホラー嫌いな話からの中盤の会話シーンへの繋ぎは上手いわ。
笑顔で内面を見せないみのりんには、遠まわしな会話が似合う。

裸族・北村の股間の攻防はアニメ化希望。
是非、職人芸を見せて頂きたい。
つうわけで、温泉まーだー?

亜美がいよいよラブコメってきた件について。
やあ、大歓迎。
他のキャラに比べて、ちと絡みが弱いなーって思ってたんで、
こういう梃入れはよろしいんじゃないかと。
可哀想なことになっちゃうんだろけどねえ。
しかし、ドS二人に翻弄される竜児には同情を禁じえない。

ラストではいよいよ話が進み始めたというか。
行き場所を失った振り上げた手と、さりげなく挿入される大河の主観。
ようやく大河が関係が変化することの意味を理解してしまったわけで。
次巻は得られた居心地の良い場所が無くなることを恐れ始める大河を描くのかな?

明日のご飯は、竹宮(ゆ)先生に敬意を表して、
たらこ+卵黄+白ねぎでどんぶり一杯かな。
数多の可能性を噛み締めながら、おいしくいただく予定。

もう11日だけど

2007年1月11日 読書
2006年に触れた作品で面白かったの各メディア3〜5個。
1月6日分の続き。

次は小説の話。
面白かったのは読んだ時に感想書いてたので、
適当にだべる感じで。ネタばれ気味。
舌の根も乾かぬうちに長めの文章なのは何とも。

まずは、今年出た文庫から。
『アラビアの夜の種族』古川日出男
『ららら科學の子』矢作俊彦
この2つが抜群に面白かったですね。
前者はエンタメ寄りで、後者は文学寄りといった印象。

『アラビアの夜の種族』は、
作中作がWizardoryのノベライズ風でめっさツボってました。
迷宮が作られ、そして攻略されていく様が描かれるんです。
しかも、それだけで十分面白いのに、
その物語を記す物語が同時に進んでいくんですよ。
物語るという行為そのものが語られるわけです。
まあ、これもまた面白い。
傑作です、傑作。
みんなも是非読みましょう。

古川日出男の著書を他にも読んでみましたが、
共通して言えるのが、文体が良いんですよね。
テンポが凄く良い。
独特な読点と頻用される倒置がスピード感を生み出しているのです。
その文体で打ち出される溢れんばかりの想像力の塊!
もう、たまりませんね。

『ららら科學の子』も非常に素晴らしい作品でした。
全共闘世代の屈託した矜持とでも言えばいいんでしょうか、
そういったものが時を越えて変貌した東京とともに語られるのです。
変えようとした日本と変わってしまった日本。
その狭間で居場所を見つけられずさまよい続ける男。
よそよそしい東京に在って、失われた時を取り戻していくんです。
好き過ぎるんで勘弁してください。

こっちも文体が良いんですよね。
乾いた文体と言いましょうか。
省略の効いた文体が描かれるものと非常に良く合ってるんです。

まだ、矢作俊彦は他の著書読んでないので、今から楽しみです。
今年も良い一年になりそう。

今年出たわけではない文庫の話。

とはいえ、前に述べた2つも初出は数年前ですが。
今年読んだのでは『神狩り』が面白かったです。
SFです。SF研の面目躍如。「今更かよ!」は無しで。

何かに反抗する話ってその相手が強大で無慈悲であればあるほど
面白いと思うんですよ。
あまりに大きすぎる敵と対峙する恐怖と戦う主人公。
絶望しそうになる心に泣き笑いですよ。
で、『神狩り』では名前の通り神に反抗するんです。
これ以上ない強大で無慈悲な相手。
そういう素晴らしい素材をちゃんと描ききってくれたなら、
傑作といわずしてなんと評すべきか。
というわけで、めっさ面白かったです。

なんか、頭の温かい文章×3って感じですね。
めげずに、次に。

他には町田康の作品ぼちぼち読んでました。
これも面白かったです。
傍から見ると滑稽で不真面目な主人公が、
実は至って真面目であるギャップの面白さ。
まあ、真っ当な真面目さではないんですが。

あとは、ラノベの話でも少ししましょうか。
今年は例年より多目に読んだと思います。
たかべー君のレビュー読んで、幾つか読んでみたので。
もうレビューは書かれないんですかね?
割と貴重な情報源だったので残念。

『とらドラ!』が結構面白かったです。
軽快な文体で描かれるテンポの良いコメディー。
頭の悪い日常も、良い感じに絡まったラブコメ部分も、
どちらもなかなかに面白いですね。
スクリューボールコメディーは好みです。
みのりんがはっちゃけたギャグキャラでお気に入り。

振り返ってみると、小説は当たり年だったと思います。
薦めてもらったもの、本屋で見つけたもの、どちらも良作揃いでした。
物語を描くメディアとしての歴史の長さは伊達ではないですね。
面白い作品がゴロゴロしてます、流石。
今年もたくさんの良い作品を読みたいものです。

ららら科學の子

2006年11月28日 読書
矢作 俊彦
文春文庫 本体667円+税

傑作です。
変わり果てた日本の変わらない姿を克明に描き出した、
50を過ぎた男の青春小説。
矛盾してるようで矛盾していないのです。
本当に面白い小説でした。

学生運動に身を投じた男が殺人未遂に問われ、文化大革命の渦中の中国に密航する。
農村で30年過ごし帰還した男は、日本に一体何を見るのか?
ってのが導入です。
で、主人公はタイムスリップしたかのように扱われます。
男にすれば1968年の東京こそが『今』で、
21世紀の東京は『未来』でしかないのです。
そんな男の目から描かれる東京が非常に面白いんです。
普段何気なく目にするものに新たな意味を与える視点。
いやあ、小説の醍醐味ですね。
省略の利いた密度の濃い文体と相まって、非常に素晴らしい。

男が東京を彷徨いながら覚醒に向かう様も大変良いのですが、
まあ、こちらはあんまり言及すると、筋をばらす事になるので、
控えておきます。(分かったからって問題ない類の話ですが)

実に面白い小説なんでお薦め、と言いたいところですが、
少し(もしかするとかなり)人を選ぶところがあるので、
導入で面白そうと思った人以外は微妙かもしれません。
(どんでん返しとか、ミステリ要素とかはないですよ、あしからず)
間違いなく言える事は、この小説が大好きだ、ってことだけです。
休みになるとやたら眠くなります。
一日の半分ぐらい寝て過ごす感じ。
日頃、普通の睡眠時間で生活できてるはずなんで、
寝る必要はないはずなのに、何故でしょう?
たまには、外に出ろってことなんでしょうか?

『シートン』第3章 谷口ジロー
谷口ジローの描く動物モノは本当に面白いなあ。
サンドヒルスタッグの雄雄しい跳躍は彼にしか描けない名場面。
精緻な筆致でデフォルメせずに描かれる動物たちと、
淡々と自然を語る作風があるからこそ、
荒々しく力強いラストシーンが映えるんだろうなあ、と思います。
表情のない動物から伝わってくる感情(のようなもの)が、
微笑ましかったり、物悲しかったり、荘厳さを感じたりで、好き。

『虹ヶ原ホログラフ』浅野にいお
面白いです。
とても面白いんですが、
全編から漂ってくるサブカル臭さはどうにかならんものかと。
小さいのでは、包帯をまいた女教師とか、少女の初潮とか、
中ぐらいのでは、娘に欲情する親父とか、人当たりの良い狂人とか、
大きいのでは、日常に潜む唐突な死とか、散在する悪意とか。
とはいえ、過去と未来、幻想と現実が錯綜しながら、
それぞれの人々の物語が一つに収束していく複雑な構成を、
ちゃんと読者に分からせる様に描けているのは上手いし、
悪意と醜さに満ち溢れた物語を、ある種の美しさを感じさせる作品に
仕上げる技量も素晴らしいとは思います。
でも、なんだかなあ。いや、好きですけど。
QuickJapan連載だし、需要には答えてるんでしょうねえ。

『ローマ人の物語』24巻 塩野七生
相変わらず面白いです。
24巻は賢帝として名高いトライアヌス帝の話。
現存する資料が少ないだけに、ちょっと物足りないところも。
ローマ全盛期を治めた皇帝の一人なのに皮肉な話。
批判の方が後世に残りやすいってのも寂しい話ですが。
丘削ってまで、前任者より大きな施設を作ろうとする虚栄心や、
死後自分の祭られる神殿の設計図まで残したりする用意周到さは、
何だか微笑ましいです。

9/5-6の読書

2006年9月7日 読書
一日中、時間があるのに、もっともっと時間が欲しくなります。
読みたい本が多すぎです。アニメもゲームも映画も。
思うに、世の中に面白いものが多すぎるんじゃないかと。
というわけで、引きこもり中。

『アラビアの夜の種族』古川日出男
めっさ面白かったです。
Wiz好きな人には、たまらない小説だと思います。
いや、この作品はノベライズってわけではないんですが、
作中作がWizのノベライズにしか思えないんですよ。
この作品は、
エジプトにナポレオンが攻めてきた! さあ、どうする?
って事態に、
すげえ面白い本を読ませて、ナポレオンを骨抜きにしましょう。
と、お偉いさんに主人公が進言する
という無茶な設定で、
その本を作中作として書いてしまった勇気溢れる作品なのですが、
エジプト侵攻と作中作が並行的に描かれる構成が上手いし、
(物語の中で物語られる、何重にもなる入れ子構造!)
作中作はファンタジー色の強い冒険小説で面白いしで、
(迷宮が造られ、そして攻略される面白さ!)
ちゃんと素晴らしい作品に仕上がってるんですよ。
日本推理作家協会賞&日本SF大賞W受賞とのことですが、
納得の出来。

『国家の品格』藤原正彦 新潮新書
流行りの新書を読んでみよう、その1。
画期的日本論って帯に書いてましたが、
別に目新しいことはありませんでした。
端的に感想を述べるなら
教養主義と、欧州への憧れの裏返しと、新渡戸稲造の『武士道』
ってとこでしょうか。
数学者だけあって数学絡みの話は熱が入ってて楽しかったかな。

『ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる』
梅田望夫 ちくま新書
流行りの新書を読んでみよう、その2。
こちらは、とても興味深い内容で面白かったです。
「グーグル」だとか、「オープンソース」だとかが、
世界をどのように変えたのかについての考えが述べられていて、
ネットがもたらす変革を知りたい人には絶好の書になってます。
Web2.0のもたらす展望やその理念は、
SF好きな人にはたまらないんじゃないかと。
ネット上に情報が溢れかえっているからこそ、
有識者には常識的なことを分かりやすくまとめて、
そこから新たな発見をもたらしてくれる新書は
まだまだ需要がありそうですね
まだ読んでない人は是非とも読みましょう。
今日は、茨木にある「光の教会」を見てきました。
コンクリート打ちっぱなしで作られた礼拝堂にある十字架は、
十字架状のスリット窓から入る光の十字架だけ、という
映画とかに出てきそうな造りでなかなか良い感じ。
安藤忠雄という有名な建築家が設計したとのこと。
まあ、全然知らなかったわけですが。

今日の読書の一部にだけ感想。
その分ちと長め。
夏休みは時間がたっぷりあって最高です。
あとで追加するかも。

『げんしけん』8巻 木尾士目
今風のオタクを描いた作品の主人公にトラウマ少女の救済をやらすのは、実に素晴らしいですね。
真の意味でのオタクに対する全肯定と受け取るか、悪質なブラックジョークと受け取るかは、その人次第と言うことで。
それはそれとして、荻上の悩みはもっと他人からすると本当にどうでも良い(でも本人には重大な)悩みであって欲しかったなあ。
本当にいそうなキャラ(いないけど)として作られた笹原の恋愛相手の荻上には、フィクションを感じさせる要素はできるだけ減らして欲しかったという我が儘です。
いや、話としては、今の方が面白いのは間違いないし、
現実味と嘘とのバランスは上手いなあ、と思ってるんですが。
あと、荻上と漫研とのエピソードはなかなか良いですね。
四年生描いてた頃だと、「過去の行いが許されることはない」という現実を突きつけて終わってたんじゃないかと思うんですが、
漫研部員の荻上に対する個人的な好意を描き、自らの作品の与える良い影響が描くことで、荻上の心理的負担が減り、読後感が格段に良くなってて、木尾士目は娯楽作品を描くのが上手くなったなあ、と。
こういうバランス感覚は好きです。

『カラスヤサトシ』カラスヤサトシ
素敵。めっさ素敵。大好きなんですよ、この漫画。
何も考えてない男子小学生と、
意味の分からない衝動にかられる男子中学生と、
すっかり自分だけの脳内世界が出来上がった男子高校生の、
頭悪いところを全部足し合わせたような奇跡のような漫画なんです。
しかも、ほぼ実話。素敵すぎ。
ギャグ漫画に仕上げていると言うことは、自分が客観視できているはずなんですが、でも、漫画全体にどうしようもなくずれた感じとやっちゃった感じが漂っているんですよ。
ネタ自体は冷静に考えるとあまり面白くなくても、
何故かめっさ笑ってしまう不思議空間。
作者本人以外をネタにしている回より、作者本人をネタにした回のほうがあきらかに面白いのは、どうなんでしょうね。
『ゼロ』と『アストロ球団』の原作者って同一人物なんですね。
『ゼロ』はもちろんスーパージャンプで連載中のアレ。
ゼロもジャコビニ流星打法とか使えたりしたら、めっさ愉快。

『清村くんと杉小路くんと』1,2巻 土塚理弘
杉小路くんがボケで、清村くんがツッコミ。
ディライア君曰く「本当に微妙な漫画」だとか。
ええ、確かに微妙でした。
漫画が微妙というか、漫画の中で流れる空気が凄く微妙。
より正確に言うと、杉小路くんの周りの空気が微妙。
Sayland君の感想に期待。

『ロケットマン』1,2巻 加藤元浩
最後は少年がロケット作って宇宙を目指す話になるのかな?
つかみとしてはなかなかに面白い。
表情のパターンが少ないのが気になるけど、
少年漫画としての話作りは結構上手そうだからよさげ。
全10巻らしいので、さっさと続き買ってこよう。

『逆説の日本史』10巻 井沢元彦
小説家の書く歴史の本は読んでて面白いので好き。
10巻は信長の話。
今まで通り、宗教を絡めた視点で歴史を捕らえなおしてて興味深い。
この巻では「実は、信長は信仰に寛容だった」って辺りを、
一番楽しく読んでました。

『神狩り』読了

2006年7月21日 読書
山田正紀の『神狩り』読みました。
とても面白い小説でした。
詳しい感想はSayland君に直接言うとして、(ども、ありがとね)
簡単な感想を。

『神狩り』はタイトルの通り、「神」に反抗する青年を描いた小説で、
「神」は、人間には理解できない論理を扱う存在となっています。
いやあ、権力への反抗って主題、良いですよね、好き好き。
その上、描かれる権力のでかいこと。
だって「神」ですよ、まず、対抗できませんよ。
(権力って言うべきではないかも、超越者?)
しかも、関係代名詞が十三重以上に入り組み、論理記号が二つしか存在しない『古代文字』という魅力的なガジェット使って、
人間を超越した論理の持ち主であることを示すんですよ。
ワクワクするなって方が無理でしょう。
破滅を覚悟しつつも、暗い情動に突き動かされる主人公。
70年代っぽくて素敵です、大好きです。
終わりなき戦い。良いですね。
素晴らしき青春小説。
おもわず、山田正紀は天才と言ってしまいたくなりますが、
あえて、天才と呼ばないでおきたいと思います。
人間が「神」へ反抗する様を、怒りと共に書き上げた山田正紀を、
天才=「神」に与えられし才能の持ち主、と
位置付けることには違和感を感じるからです。
むしろ、偉大なる凡人=反抗者、と賞賛したいと思います。

簡便に書こうと思ったんですが、なぜか頭の浮かれた感想に。
読み終えた直後はこんなもんです。
まあ、いいですよね?
あと、感想じゃなく、思いついたこと。

もしかして、『度胸星』は山田芳裕からの『神狩り』へのオマージュなんじゃなかろうかと思うのです。
超越した論理を扱う存在を、4次元の住人として描いたこと。
しかも、それが火星においてであること。
想像できないものを想像で描こうとする、
その精神を、山田芳裕は引き継ごうとしたのではないのかと。
山田正紀があえて書かなかった戦いのその先を、
山田芳裕は無謀にも描こうとしたのではないのかと。
『度胸星』の打ち切りによって、その戦いが最後まで描かれなかったことが大変に悔やまれます。
こう書くと、打ち切りさえ「神」の妨害に思えてきませんか?
徹夜で麻雀→呉智英氏の講演→午後7時就寝、の流れの為、
全く本を読まなかった土曜日。
いや、雑誌の立ち読みはしたかな。
アクションとか近代麻雀とか。
うーん、おっさん臭い。
でも、良く考えると、読んだのは金曜日の夜だったな。

今週読んだのは、
漫画の単行本、16冊(購入は内14冊)
小説2冊(両方とも借りた本)
漫画雑誌2冊(購入したものだけ)
あと、感想書かなかった分は、
雑誌をたくさんと、小説の短編一つ。
梅雨の分で増えたのと夜中に遊んでて減ったのを相殺で、
いつもぐらいの読書量。
でも、小説はいつもより多め。(普段は0〜1冊)

特に面白かった漫画(単行本)は、
『さんさん録』 こうの史代
『ライチ光クラブ』 古屋兎丸

短編では、ウエダハジメと鶴田謙二。
でも、共に作者の最高級ってほどではないかな。

あと、新連載の『ナチュン』には期待してます。

漫画を薦めるかどうかは、薦める相手によって決める主義なので、
もし薦めて欲しいなんて人がいるなら、お気軽にどうぞ。
貸し出しも可ですよ。

小説は両方とも当たり。
人から本を借りると、楽に良作に触れられるので素敵。
玉石混交の状態から玉を見つけるのは、本当に骨が折れるので、
漫画以外ではなるべくやりたくないものです。

感想を書くのは、なかなかにめんどくさいですね。
続けるかどうかは月曜に決めようと思ってます。
でも、まあ、多分続けません。
気まぐれが一番。

7/7の読書

2006年7月10日 読書
七夕だからって何があるわけでも無いですねえ。
最近、巷で人気のアニメ(というかラノベ)のせいで、
七夕→キン肉マンと連想されるんですが、
二つの連想の間が埋められる人はいますかね?
まあ、分かった人は頭の病気だと思いますので、お大事に。

『BLACK BLOOD BROTHERS BEGINNING BIBLE』あざの耕平
[ライトノベル][雑誌の付録]
略して、B.B.B.B.B.とのこと。
『BLACK BLOOD BROTHERS』初期設定集。
とりあえず、ヒロインが5人も居る探偵物になる可能性があったという事実にはびびった。
今の漢臭い吸血鬼バトルものになって良かった良かった。
でも、これはこれで楽しかったのかもしれない。
あと、吸血鬼になりたがっているミミコって設定は是非読んでみたい。

『年上の彼女』4巻 甘詰留太
4巻ではずっと、揚羽と甘々でラブラブの生活。
まあ、これはこれで悪くはないと言うか楽しいけど、
この巻で一番楽しかったのはアヤの話。
一目惚れした相手の前で張り切りすぎて、
いっぱいいっぱいになってるアヤは見てて愉快だった。
あと、バカっぽいのろけ話も楽しかった。

『MELTY BLOOD』1巻 桐嶋 たける
『MELTY BLOOD』のコミカライズで、ストーリも原作どおり。
TYPE-MOON公式のコミカライズの中では一番出来が良かったが、
とりたてて面白いものでもなく、まあ、無難な出来。
G秋葉やメカ翡翠のエピソードは見てみたくもあるけど、
どうせやらないだろうし、そもそもに2巻を読まなさそう。
とはいえ、目の前にあれば読むけど。

『アフタヌーン』8月号 [雑誌]
新連載の『ナチュン』はなかなかに面白い。
脳を半分失った数学者の話から、主人公が人工知能の理論をイルカのビデオから発見するくだりは、興味を湧かせる導入だった。
主人公のその後の空回り気味な突っ走りも楽しかったし、
今後も期待しよう。
『ラブやん』は前回の続き。
一体どういう方向を目指す気なんだろうか?
で、今月号のアフタヌーンで一番興奮したのは、
連載中の漫画とかではなく、黒田硫黄の新連載予告。
久しぶりに長編読めるかと思うと楽しみで楽しみで仕方なくて、
雑誌を手に取る度に予告を眺める生活。
そういや、前作の『ミシ』も雑誌で5回は必ず読んでたなあ。
来月からは、「最高の漫画雑誌は?」と質問されたら
若干悩んだ振りをしつつ、「アフタヌーン」と答える予定。
何故って、黒田硫黄が連載してるから。あまりに当然。
これがいわゆる”信者”ってやつです。気をつけましょう。
あと、巻末コラム読んでて、『Neko Mimi Mode』が
10年以上前に流行った(らしい)『Love Love Mode』の
セルフパロディだってことを知って「へぇー」と思ったけど、
良く考えれば、だからどうだってわけでも無し。

7/6の読書

2006年7月7日 読書
って言っても、感想書くほどに本を読んでません。
漫画の月刊誌を少々と小説の短編一本だけ。
『HELLSING』は芝居がかった台詞まわしが、糞素敵。
それぐらい。

全然関係ない話。
最近、学食のメニューにステーキが追加されました。
お値段は1000円。
学食の割には高いけど、ファミレスなら安いといったところですか。
前を通るたびに、肉の匂いが食欲を刺激してたまらないので、
我慢できず、今日初めて食べてみたんですが、
まあ、天津マーボー丼2杯食った方がお得ですね。
いや、肉は美味しかったんですが、量が全く足りません。
で、腹一杯になるように色々追加したら、
学食で1200円超になり、
「それだったら焼肉食べられたのでは?」
と指摘され、ちょっとへこんだ、とかそんなお話。
やあ、でも、牛肉はやっぱり美味しいですよ。

7/5の読書

2006年7月5日 読書
最近、暑くてたまらないので、家では甚平を着て過ごしています。
なかなか涼しくて良いものです。
パンツ一丁と違って、訪問者の相手ができるのも良いところ。
胴長短足には、和服が一番ですよ。

『日本沈没』1−2巻 原作:小松左京 作画:一色登希彦
正直、原作とは別物。
ストーリーラインは、原作と大きく違いはしないけど、
主人公(?)の小野寺が全く違う。
尋常ではない勘の良さを発揮していて、超能力一歩手前。
漫画版では、人間ドラマをメインに描いていて、これはこれで面白い。
大仰な演出と荒々しい描線が、漫画に勢いを与えていて良かった。
一色版の小野寺は、なかなかに嫌なやつに仕上がってて楽しい。

『日本沈没』1巻 原作:小松左京 作画:さいとう・プロ
こちらは、さいとう・たかを作で、初出は30年以上前。
一色版と違い、設定語りが中心で展開は速く、ダイジェスト感がする。
ざっとストーリーを追うだけなら、こちらが手っ取り早い。
群像劇の色合いが濃い、こちらも結構好き。
原作に力があるだけにやはり面白い。
中学生の時に、夢中で読んだのを思い出した。

『ラバーズ7』5巻
相変わらずじれったい漫画だ。
話は進んでるんだか進んでないんだか分からない速度で進行。
まあ、オーナーのおっさんの過去話とかあったせいか。
できれば、さっさと話まとめて、次の作品描いて欲しいなあ。
この手の話に5巻以上は長すぎだと思う。
連載読んでないけど、今どうなってんだろ。

『BLOOD ALONE』3巻 高野真之
ミサキとクロエがずっといちゃいちゃしてた。
2巻のヒキは完全に無視ですか、そうですか。
途中、サイノメの話が入ったと思ったら、
ミサキにやきもち焼かせる為の前振りとは、
なかなか徹底していてよろし。
クロエのハーレムっぷりというか、モテモテっぷりは、
流石、電撃大王連載のことだけはある。
Papa told meに対する電撃大王からの答えがこれなのか?
(いや、クロエって小説家だし、雰囲気も、ねえ?)

7/4の読書

2006年7月5日 読書
今日はQMAやってたので、ちと少なめ。
店内対戦は本当に面白いなあ。
たきうkがアニメ・ゲームで簡単に沈んでいく様は愉快。
でも、即座にスポーツで仕返しされてみたり。
学問・4文字で、goの過去形がすぐに出てこなかったのは、
本当にどうかと思いました。(いや、もちろん正解しましたよ)

『とらドラ2!』竹宮ゆゆこ [ライトノベル]
実乃梨は本当にアホの子だ。(褒め言葉)
ひょうきん族ネタには、めっさ笑った。
(授業中に突然×マークのアレ、水は降らなかったけど)
最低でも昭和50年代には生まれてなければ、分からないネタが多すぎると思うのだけど、若い子はついていってるのだろうか?
まあ、自分が世代的にピンポイントなのは間違いない。
実乃梨がはっちゃけてたのが、2巻の最大の収穫。
あと、ダイエットネタには作者の怨念を感じた。

『さんさん録』2巻 こうの史代
淡々とした日常とこうの文代の昔風な暖かい画風が良く合ってて、
読んでると、とても心地良い。
参平さんは昔気質のいい男だし、仙川さんはなかなかに色っぽい。
そんな二人の淡い恋模様も、なかなか楽しかった。
これで最終巻だけど、もう少し読みたいな、と思わせる良作。

『三十三間堂 外伝』平田弘史
平田弘史の作品は、武士道が狂気を帯びているという事実を
痛感させてくれる。
正常なことが既に狂気である世界での物語は、実に面白い。
しかし、狂気の中にもある種の真実があるわけで、そこがさらに面白い。
まあ、そんなこと抜きにしても、
確かな画力で描かれる時代劇はそれだけで面白いのだけれど。

7/3の読書

2006年7月4日 読書
週末に買った低反発枕が素晴らしすぎて、
眠気の誘惑に抗えない今日この頃。
読書とCiv4と睡眠が、時間の奪い合いを激しく繰り広げております。
勉強にも是非参戦していただきたいものの、腰が重い様子。

『放浪息子』5巻
ブラジャーにショック受けてる高槻さんがカラーなのは、実に良い。
中学生編は、新キャラもなかなか良いし、期待しよう。
板ばさみになってる佐々かなこは、胃が痛いんだろうなあ。
二鳥くんも千葉さんも高槻さんも相変わらず可愛いし、
ニヤニヤしぱなっしで、読んでる姿を人に見られたくない漫画の筆頭。

『日本ふるさと沈没』 [アンソロジー]
見たまんま『日本沈没』のアンソロジー。
原作知らないと楽しめないのは、とり・みきぐらいか。
(とり・みきは小松左京まで知らないと楽しめない気が)
鶴田謙二のは、小野寺が原作では男性だと知ってれば十分だし。
一つ一つが短い分、物足りなくはあるけど、
だからこそ鶴田謙二が読めたのだと思うと、
まあ良いかって気分にはなる。
地元徳島も、竹宮恵子に沈めて欲しかったなあ。

『ライチ光クラブ』原作:東京グランギニョル 作画:古屋兎丸
古屋兎丸の熱気が感じられる作品だった。
原作付きで、丸尾末広を意識した作画にもかかわらず、
他のどの作品よりも、まさに古屋兎丸の作品だと思える。
少年の狂気を、背徳的で耽美な世界の上に、見事に描ききっていた。
一歩間違えれば、時代錯誤なだけの作品になりかねないだけに、
感心することしきり。
大変満足した。

『コミックファウスト』 [雑誌]
ウエダハジメと舞城王太郎が載っているので、良い雑誌認定。
舞城王太郎は漫画としては荒っぽいけど、
物語に対する勘が良いので、作品としては面白い。
もっと漫画描いて欲しい。
ウエダハジメは、ウエダハジメにしか描けない漫画を、
きっちり描いてくるなあ。
画面作りのセンスは抜けていると思う。
TAGROは、読ませる話になっていた。
題名も作品の内容を良くあらわしていて良い。
最後まで作品を維持できない漫画家代表の高河ゆんに原作をつけるのは、
とても良いことだと思った。
なんで、もうちょっと早くやらなかったんだろう。
原作は知らないけど、相性は良さそうに見えた。
余談。
BOOK FIRST コミックランド梅田店に、西尾維新サイン付が置いていた。
(確か、高河ゆんも書いてたかな)
まあ、既に買ってたし、ファンでもないので、スルーしたけど。

7/2の読書

2006年7月4日 読書
ふと、読書、主に漫画、の感想を残しておくのは、
(未来の自分にとって)とても楽しいことなんじゃなかろうか、
と思ったので、1週間試しに書いてみますよ。
でも、雑誌は買った分だけにしておきます。
週2桁も雑誌の感想書けねえです。

『BLACK BLOOD BROTHERS S2』あざの耕平 [ライトノベル]
相変わらず面白い。
東の龍王セイの話が一番好きかな。
セイが負けず嫌いなのにゲームで連敗して、
周りが気を使ってもやっぱり連敗して、って話。
負けず嫌いの子見るのは微笑ましくて、始終ニヤニヤしてた。
最後の短編の過去話もなかなか。
カーサとジローとイブの関係はコメディ向けだなあ。
もうちょっと読みたい。

『NHKにようこそ!』5巻 原作:滝本竜彦 作画:大岩ケンヂ
いろいろあった様で、全然話が進まないな。
ひたすら繰り返される足踏み。
本当に痛い話一歩手前を、なるべくリアリティ出さずに描くのは、
なかなか良い手法なのかも。
かなり強めにデフォルメされる表情とかそういうの。
軽い上滑り感こそが大切な気がする。

『宙のまにまに』1巻 柏原麻美
文化部のお話って楽しいね。
美星がにぎやかにしてたり、姫が一人で煮詰まってたりするのは、
なんだかんだで好き。
エロゲでこういう日常シーン読むのは苦手なのに、
なんで漫画だと大丈夫なんだろ?
表情や動きの有無が大きいのかな?

『涼宮ハルヒの憂鬱』2巻 原作:谷川流 作画:ツガノガク
ツガノガクの前作、『時をかける少女』のコミカライズが面白かったので、買ってみたものの、これは微妙だった。
1巻はまだしも、2巻は正直よろしくない。
原作からの改変は空回ってる印象かな。
アニメ版は映像化としてとても優れていたことを再認識。
前作に関しては、自分が筒井康隆が好きなだけだったのだろうか?

『銭』4巻 鈴木みそ
題材選びの巧みさは流石だ。
1巻につき最低1つは、オタク受けしそうな題材が入ってる辺り。
とはいえ、そういう題材は既に知っている事実も少なくないのが寂しい。
夢を与える産業の裏側なんて見ないに限ると思いつつも、
やっぱり気になるわけで、今回も楽しかった。

Ia! Zs-awia!

2006年5月9日 読書
DS電撃文庫 アリソン
http://www.dengekiya.com/ditails.asp?prdid=S0593021

ライトノベルのサウンドノベル化なんてのもやってるんですね。
確かに親和性は高そう。もともと挿絵多いし。
メディアミックスとして、ドラマCD以上でアニメ以下な敷居の高さのメディアは需要がありそうな気はします。
もしかして昔からあったことなんでしょうか?
どうなの、Sayland君。知ってる?

日曜にスイッチが入ったようで、小説読み続けてます。
今週は自分にとって小説週間の様子。

昨日、今日で読んだもの。
『六番目の小夜子』→『斬魔大聖デモンベイン』→『ゼロの使い魔』

以下、感想。

『六番目の小夜子』は、質の高い学園青春物でした。
読む前はもっとホラーっぽい話と思ってましたが、
良い意味で裏切られたというところでしょうか。
文化祭での芝居の場面は、緊迫感がとても良かった。
短い台詞を切れ目なく一気に読まされているとき、
その場面にいるが如く引き込まれました。
恩田陸の作品は初めて読みましたが、上手い作家さんですね。

『斬魔大聖デモンベイン』は、とても良い巨大ロボットもの。
分かってましたが古橋信者のようです、どうも。
無線電信による召還呪文は最高です。
言霊を帯びたモールス信号なんて発想がどこから出てくるのやら。
格好良さげに動いているデモンベインの出力がパンチカード、
という大雑把さ加減がたまりません。

『ゼロの使い魔』は、1巻では風呂敷広げてるだけでした。
たかベー君が7巻に10点満点つけてたので読んでみました。
乗馬用のムチで主人公を叩くヒロインは沙織お嬢様以来。
たかベー君はきっとドMです。彼も股間を蹴られればいいと思う。
そのうち、ルイズが虚無の系統の魔法が使えるようになって、
ゼロ=虚無のルイズってオチだと予想。
他の連中の二つ名が漢字二文字なのも伏線、多分。
幸せなGWも終わってしまいました。
7日間全力で遊んで、2日間は家で引きこもり。
まずまずバランス良く過ごせたと言える気がします。

連休最後の一日は読書。
久しぶりに小説まとめ読みしてました。
その辺に積んである本を適当に読んでいたら
『同時代ゲーム』→『ベルカ、吠えないのか?』→『眠り姫』
と、良く分からないラインナップに。

今回読んだ作品は全て面白かったのでとても幸せでした。

中でも、『ベルカ、吠えないのか?』は特に面白かったですね。
冷戦下の政治・紛争史を犬の視点を巧みに利用しながら描いた作品で、4頭の軍用犬から始まる血統が世界に拡散して、人間の愚鈍な行為に翻弄されつつも次代へと引き継がれ、やがて物語と共に一点に収束していくという筋書きなんですが、これがたまらなく面白いのですよ。
一段高いところから登場人物に語りかけるような大仰な文体が、重層的な構造の物語と相性良くて、これもたまらなく良いです。
人間の起こす気まぐれで理不尽な行動で危機に陥っても、次代に血を残す為に生き抜こうとする犬の力強い意志と本能には震えます。
ヤクザの嬢のストレルカとか、大司教の話も良かったのですが、明らかにネタばれになるので割愛。
説明下手のせいでさっぱり伝わってない気がしますが、とにかく面白かったということで。

『同時代ゲーム』は作者の想像力に感嘆。
とても好きな文体。ぱっと見では悪文に思えるのに。
どこから読んでも問題ない不思議な作品。

『眠り姫』はバラエティーに富んだ、良く出来た短編集。
表題作のような無駄を省いた作品は好きです。
文章が読みやすいのは好評価。本当に新人?

せっかくなので、もう1冊ぐらい読んでから寝ます。
さて、何を読もうかな?

追記:
せっかくなので、文藝春秋へリンクしときます。

ベルカ、吠えないのか?(古川 日出男)
http://www.bunshun.co.jp/book_db/html/3/23/91/4163239103.shtml
ファウスト vol6 SIDE-B読了
といっても半分ぐらいしか読んでませんが。
で感想です。

まずは新伝奇特集

竜騎士07は、尻すぼみな感じ。
前編の、小さな悪戯が自分の手を離れて呪いに育っていくところが面白かっただけに、ちとオチが物足りないなあと。
ラスト10ページ辺りは、あまり好きではなかったですね。
とはいえトータルでは楽しめたので、次回作に期待。

奈須きのこは、DDDの続編。
なかなかの良作でした。
特に久織の過去話はいつものきのこ節で満足。
狂気に侵されたキャラ書かすと相変わらず上手いです。
ただ面白さの質が、今までの作品とさほど変わらないのが気になるところ。
信者(自分含む)はこれで良いんでしょうが、新しいファン取り込めてるんですかね?
あだち充のように、自己模倣にならぬことを祈るばかり。

錦めがねは挫折しました。そもそもにフォントがいや。

以下は、他の作品で気になったあたり。
舞城王太郎は魔女っ子もの。
男子高校生が変身して魔女っ子のバイトをする話。
魔女っ子が変身するんじゃなくて、魔女っ子に変身する辺りはなかなか斬新。
読んだの3作品目ですが、この人家族の話好きですね。
まあ、当然自分も好きなので問題なし。
文章読んでるだけで楽しい作品でした。

西川大介の連載「遊星からの物体SEX」は、最近お気に入り。
「誰かの右足の裏をなめること。
 それが彼のSEXの全て!」
とか
「彼は自分で自分にフェラチオできる。
 彼は自分で自分とアナルSEXできる。
 彼は自分で自分を妊娠させることができる。
 そして彼は自分で自分を出産した!!」
とかそんな作品。
なんともいえぬ脱力感。

あと、太田編集は相変わらず最高です。
ファウスト賞とか。特に。

で読んだ順番なんですが、
うりこひめさま>うりこひめさま
>対談とかファウスト賞とか細かいの
>うりこひめさま>舞城>うりこひめさま
>竜騎士>うりこひめさま>きのこ(前半)
>うりこひめさま>きのこ(後半)
>うりこひめさま

もう何回読むねんと>うりこひめさま
tori君の日記読んで笑ってましたが、ヒトゴトじゃない。
もっとあほでした。
ウエダハジメ最高。
ツボ押しすぎ。
体中から幸せ汁出そうですよ。
今からもう一回読みます。
では。

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