もう11日だけど

2007年1月11日 読書
2006年に触れた作品で面白かったの各メディア3〜5個。
1月6日分の続き。

次は小説の話。
面白かったのは読んだ時に感想書いてたので、
適当にだべる感じで。ネタばれ気味。
舌の根も乾かぬうちに長めの文章なのは何とも。

まずは、今年出た文庫から。
『アラビアの夜の種族』古川日出男
『ららら科學の子』矢作俊彦
この2つが抜群に面白かったですね。
前者はエンタメ寄りで、後者は文学寄りといった印象。

『アラビアの夜の種族』は、
作中作がWizardoryのノベライズ風でめっさツボってました。
迷宮が作られ、そして攻略されていく様が描かれるんです。
しかも、それだけで十分面白いのに、
その物語を記す物語が同時に進んでいくんですよ。
物語るという行為そのものが語られるわけです。
まあ、これもまた面白い。
傑作です、傑作。
みんなも是非読みましょう。

古川日出男の著書を他にも読んでみましたが、
共通して言えるのが、文体が良いんですよね。
テンポが凄く良い。
独特な読点と頻用される倒置がスピード感を生み出しているのです。
その文体で打ち出される溢れんばかりの想像力の塊!
もう、たまりませんね。

『ららら科學の子』も非常に素晴らしい作品でした。
全共闘世代の屈託した矜持とでも言えばいいんでしょうか、
そういったものが時を越えて変貌した東京とともに語られるのです。
変えようとした日本と変わってしまった日本。
その狭間で居場所を見つけられずさまよい続ける男。
よそよそしい東京に在って、失われた時を取り戻していくんです。
好き過ぎるんで勘弁してください。

こっちも文体が良いんですよね。
乾いた文体と言いましょうか。
省略の効いた文体が描かれるものと非常に良く合ってるんです。

まだ、矢作俊彦は他の著書読んでないので、今から楽しみです。
今年も良い一年になりそう。

今年出たわけではない文庫の話。

とはいえ、前に述べた2つも初出は数年前ですが。
今年読んだのでは『神狩り』が面白かったです。
SFです。SF研の面目躍如。「今更かよ!」は無しで。

何かに反抗する話ってその相手が強大で無慈悲であればあるほど
面白いと思うんですよ。
あまりに大きすぎる敵と対峙する恐怖と戦う主人公。
絶望しそうになる心に泣き笑いですよ。
で、『神狩り』では名前の通り神に反抗するんです。
これ以上ない強大で無慈悲な相手。
そういう素晴らしい素材をちゃんと描ききってくれたなら、
傑作といわずしてなんと評すべきか。
というわけで、めっさ面白かったです。

なんか、頭の温かい文章×3って感じですね。
めげずに、次に。

他には町田康の作品ぼちぼち読んでました。
これも面白かったです。
傍から見ると滑稽で不真面目な主人公が、
実は至って真面目であるギャップの面白さ。
まあ、真っ当な真面目さではないんですが。

あとは、ラノベの話でも少ししましょうか。
今年は例年より多目に読んだと思います。
たかべー君のレビュー読んで、幾つか読んでみたので。
もうレビューは書かれないんですかね?
割と貴重な情報源だったので残念。

『とらドラ!』が結構面白かったです。
軽快な文体で描かれるテンポの良いコメディー。
頭の悪い日常も、良い感じに絡まったラブコメ部分も、
どちらもなかなかに面白いですね。
スクリューボールコメディーは好みです。
みのりんがはっちゃけたギャグキャラでお気に入り。

振り返ってみると、小説は当たり年だったと思います。
薦めてもらったもの、本屋で見つけたもの、どちらも良作揃いでした。
物語を描くメディアとしての歴史の長さは伊達ではないですね。
面白い作品がゴロゴロしてます、流石。
今年もたくさんの良い作品を読みたいものです。

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